ミスリードから生まれる感動-ちはやふる第七首感想

ちはやふる第七首の感想です。
高校生編開始~千早A級挑戦、の回。



懸けてから言いなさい


このセリフ、ぼくの中の漫画名言ランキングでトップクラス!

セリフ単品で見るとストレートすぎてありきたり(?)な感じも
するんですが、ここに至るまでの演出がいいんですよ~。

そのあたりを含めて今日は長めの考察です。



◆ミスリードから生まれる感動◆


前提として、この回の構造はだいたいこんな流れ

千早の流れ

① 仲間が欲しくてたまらない

② 太一と再会するが太一はかるたに弱腰

③ 太一とかるた部作るためA級昇格を目指す


太一の流れ

ア かるたに弱腰

イ 千早が陸上部を選んだ理由を聞く

ウ 懸けてから言いなさい、にやられて改心(情熱を取り戻す)



・②&ア 太一の弱腰

太一はまた悪い癖が戻ってるんですよね。
勝てないだろうからやらない病(笑)


千早に「いいんじゃね?陸上部 高校3年間B級でもがくよりは」
原田先生に「青春ぜんぶ懸けたって新より強くはなれない」
って言ってるのがそれですよねー。

小さい頃からお母さんに植え付けられた精神がまた復活してる。
小学生のときに一度はそこから脱したんだけど
千早・新と離れた3年間で元に戻ってしまったんでしょうね。

千早との再会シーンでは
千早の窮地を救う王子様的な登場の仕方をするのに
そっこーでヘタレな部分を出してしまう。

イケメンなのにかっこ悪いんですよねー(笑)
この回の太一。



・②→③&イ→ウ 二人の動機が絡み合っている

上の図見てもらえば分かるとおり

千早がこの日かるたを頑張る動機(の1つ)は太一

太一がかるたへの情熱を取り戻すきっかけは千早

この構成がキレイですよね。

相思相愛な感じ(恋愛的な意味ではないけど)



・中学時代のエピソード

今日の考察のメインはここ。

千早の回想で、かるた仲間のいなかった中学時代&陸上部入部
が描かれ(A)
その後、原田先生の口からその続きが語られる(B)

このエピソードが第七首の感動ポイントの触媒になっている。
AとBそれぞれのエピソードが
千早の心の描写、太一の心の動きにうまく作用しているんです。

特にAとBのエピソードを分けて
Bを最後の方にもってきたのがキモ。



まず、仲間がほしくてたまらない千早(①)を表すのに
Aが生きている。
(Aの効果1)

中学の友達も、お母さんも、かるたに興味を持ってくれないし
かるた会の子供(ヒョロくん)たちも離れていってしまった。
だから高校でこそ仲間が欲しい千早。
千早の切羽詰ってる感が浮き彫りになる。
(ま、これは普通の使われ方ですね。
巧いのは次の効果もある点です。)



同時にAのエピソードは
太一の流れイウでミスリードに使われている。
(Aの効果2)

太一は、千早が中学時代に陸上部に入ったと聞き
千早がかるたから陸上に軽く浮気したものだと思っていた。

読者も同じ。

原田先生の問いかけ(大会出られなくなるよ)に対する
「かるたが楽しかったのは―」という独白(47頁)や
「普通に友達欲しかったってゆーか……」というセリフ(42頁)で
読者の頭には
友達がほしいっていう思いに勝てなくて
かるたの時間を削ってしまったんだろうなぁ
というストーリーが出来上がる。



その上で大会見学中に語られるBのエピソード。
(Bの効果1)

原田先生に陸上部に入った理由を聞かれ
晴れやかな顔で「全部 かるたにつながります」と答える千早。

てっきりかるたへの情熱が薄れたのかと思いきや
部活選びまでかるた中心に考えていたんだということに
太一も読者もハッと気づかされる。

千早がこの3年間、どれだけかるたに懸けてきたかということを
驚きを伴って理解したときに原田先生が畳みかけてくる。


“青春ぜんぶ懸けたって強くなれない”?


まつげくん


懸けてから言いなさい



いやー、このセリフ、ホントいいですね。

ここはAのエピソードで
「あれ??千早、かるたのテンション下がったのかな?」
とミスリードされた読者ほど
原田先生の言葉が響いたんじゃないかと思います。

騙されたもん勝ち(笑)


最初っからミスリードされずに読んでしまった人は
今度読むときはだまされたつもりになって読んでみてください。
きっと感動の度合いが違いますよ!



それから、Bの方にももう一つ作用があります。
(Bの効果2)

これまでの懸命さが分かって
A級に向けて頑張る千早(③)の思いがより鮮明になるんですよね。

最後のコマの千早はこの回で最も真剣な表情で描かれていますが
この真剣さはBのエピソードによってより一層際立ちます。



以上のように
Aのエピソードは、千早の流れ①と、太一の流れイウに
Bのエピソードは、千早の流れ③と、太一の流れイウに
触媒として機能しているんです。

この構成が素晴らしい!!

しかもこの巧みな構成をたった30ページの中に収めてしまうのが
ちはやふるの、末次由紀さんの、すごいところですねー。




あと、最後のコマがまた漫画的に非常に巧いんですが
蛇足になってしてしまいそうなので割愛します。

それも書いてくれ、という要望があれば
コメント欄もしくは別の日の日記で書きます。


~ミスリードから生まれる感動~




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