動き出す恋愛模様-ちはやふる23巻感想

ちはやふる23巻の感想です。

24巻感想はこちら

挑戦者決定戦の結末とその後が描かれています。
珍しく日常パートが多い巻ですが、熱さは相変わらず。



◆動き出す恋愛模様◆


ちはやふる(23) (Be・Loveコミックス)


・挑戦者決定!

先生としての貫禄を見せた1試合目。
逆に翻弄され続けた3試合目。
原田先生が長い長い戦いを制しました!

周防名人への挑戦者は、原田先生!!
悲願の名人まであと一歩!!

どちらが勝ってもうれしい試合でしたが
積み上げてきた歴史がある分だけ
原田先生の勝利には感動もひとしおです。

原田先生の勝利を喜ぶ広史さんがほんといい顔しています。
2コマありますので、両方ともチェックしてみてください。
泣けます。



・深い川は静かに流れる

原田先生の経験や情熱そして意地の悪さ(笑)に対峙し
じいちゃんになりきって戦った新。

「自分にはないもの」に出会うとともに
「自分ではないもの」になって力を尽くしたわけです。

新がここからさらに飛躍するためには
借り物ではなく「自分にあるもの」で
力を出し切れるようになることが必要です。

困った時のじいちゃん頼みではなく
新自身が独白しているとおり
「おれがおれのまま勝つ」が新の最大の課題。


原田先生から学んだことや
じいちゃんのかるたを取り入れつつも
あくまでも「自分のかるた」を確立することによって
新の水のようなかるたはより深みを増すはずです。

そうなれば周防名人にも一目置かれる存在になるでしょう。

関連記事:21巻感想:間で揺れ動く人たち

新がじいちゃんのかるたではなく
「自分のかるた」を追求する流れは
心待ちにしていた物語だったので
テンション上がってきました。

ここの話は太一の物語と併せて読んでみても面白いところです。
来月あたり記事にしようかと思っています。



・新から千早へ

原田先生との試合後
新が「千早なら……どうした?」と尋ねる場面にぞくぞくしました。

これまでは千早が一方的に質問するだけで
新の方から千早に意見を求めたことって
なかったじゃないですか。

二人の関係が対等になったんだなぁと
感じさせられる場面でした。

そして
千早にとっても
読者にとっても
不意打ちの
告白!!

ふっと浮かんだ気持ちを
なんのてらいもなく素直に口にした
新らしい自然体の告白。

新らしいセリフで
新らしい口調で
新らしいタイミングで
とてもしっくりくる告白でした。


告白した後の新の表情が
丁寧に描かれているのも良いですね。

意識せず口に出したその言葉の意味に気づき
真っ赤になって照れながら
でも好きだという気持ちは本物だという心の動きが
見て取れます。


千早と新は、自分の気持ちの気づき方が似ていますね。

それまで心のどこか見えづらいところに存在していた思いが
かるたのことを考えていたら自然と表に出てきたという点。

菫ちゃんの言うようにお似合いなのかもしれません。



・かませの国の王子様

新と千早が公衆の面前で二人だけの世界を作るその頃
ひとり周防名人に向かって彼氏宣言をする太一。

ここ熱いシーンなんですよ。
熱いシーンなんですけどね。
どうしてそんなに間が悪いのか…

あえて言おう
不憫であると。

太一を不憫と評価することには
個人的にはややためらうことが多いのですが
ここはもう不憫というほかないでしょう。


太一の彼氏宣言の場面は
バシッとたんかを切ったカッコいい場面なのですが
それ以上に決定的な場面でもあるのです。

太一はこの彼氏宣言をする瞬間
千早を振り向かせるために
全力を注ぐと決意したのです。

ここで太一は2巻のあの場面を思い浮べています。
「懸けてから言いなさい」
青春全部懸けたって新には勝てない
そうかもしれないけれど
それでも頑張ることを教わった場面です。

いまそのときのことを思い返しているのは
2巻と同じことがあてはまる場面だからです。

つまり、千早が自分のことを見ていないことを分かっていて
今後も振り向かせられる自信なんてない
そんな状況で全力でぶつかっていっても不毛
それでもおれはやる、と決めたからです。

9巻で「選んで頑張るんだ」と言ったときよりもずっと固い決意です。
告白することまで射程に入っているはずです。
太一の気持ちがこの恋を成就させる方向に飛躍しました。

このように
太一の彼氏宣言は周防名人を追い払ったカッコよさだけでなく
思いを固めて言葉にしたカッコよさがあるのです。


さて、こうして彼氏宣言のカッコよさを語ってきましたが
だからこそ太一は不憫なんですよね。

新がこれ以上ない告白をしているときに
太一はようやく
‘全力でぶつかるぜっ!’
‘告白して付き合うぜっ!’
と決めた段階です。

太一の決意がかっこよければかっこいいほど
周回遅れの残念さが際立ちます。

このイケメン、どれだけかませ犬なのか…

ブログ開始当初の第一首感想で
小学生編太一がかませ犬っぽいと書きましたが
高校生になって素晴らしい成長を遂げても
そこは変わらないんだよなー。



・千早の思いは…

新の告白を受けた千早は
何を思ったのか明確に描かれてはいませんが
周防名人との対戦中
新に言われた言葉を思い出して
気持ちを立て直しています。

これはもう両想いと言っていいんじゃないでしょうか。

いずれにしても
千早もあんぽんたんではいられなくなりました。
菫ちゃんが言うように始まってしまいました。


ちなみに、ここまで書いておきながら
相変わらず願望抜きで
千早くっつくのは太一という考えです。



・弱視?それともあえて?

22巻でほのめかされていた
周防名人の弱視疑惑がより強くなりました。

22巻で気づかなかった人も
23巻で気づいたのではないでしょうか。

22巻までで出た要素は
耳が異常に良い
ボールにぶつかる
無駄にサングラス着用
無精ひげ等見た目にややルーズ

これに加えて23巻で
またもボールにぶつかる
停めてある自転車にぶつかる
原田先生が黙っておくように告げる

こういった事情からすると
周防名人が弱視である可能性が高いと思います。

まぁそうは言っても
バイクの運転は出来ているので
少なくともサングラス着用すれば
きちんと見えるレベルなんでしょうから
単純に視覚情報を遮断しているだけかもしれません。



・菫ちゃんの葛藤

今回注目したのはここ。

よくある話なんですよね。
自分の好きな人が他の誰かに惚れてるときに
好きな人の恋が成就しないことを願ってしまう。
そして願ってしまったことに罪悪感を覚えるという話。

恋愛漫画で定番のエピソードです。
手垢のついたエピソードです。

なのに、菫ちゃんの物語は
なぜか面白かった。

これは菫ちゃんのキャラクターにあると思っています。

普通は相手の恋愛が成就しないことは
隠れた願望であることが多いのですが
菫ちゃんは最初から口に出していて
ある種の潔さがあります。
これが1つ。

また、一見わがままなことを堂々と言う。
だけどよく考えるとただのわがままと断ずることができない。
筋の通った恋愛バカと言われるように
言っていることは結構正論だったりする。

今回もかなちゃんは菫ちゃんの
正論にやりこめられています。
ただのわがままだけでないことが1つ。

さらに、本当は打算で考えられない
良い子な菫ちゃんがいること。
今回は自分が歩くためにはきれいな落ち葉を
踏みたくないのに踏んでしまうジレンマに重ねて
自分の想いを尊重するためには
太一の恋の不成就を願わざるをえない苦しみを
感じている。
これも1つですね。

うまくまとめられていませんが
菫ちゃんのキャラクターが定番エピソードを
うまく盛り上げているのかなと思っています。



・おばあちゃんとの関係

前々から期待していた
詩暢ちゃんとおばあちゃんの話。

おばあちゃんは冷たく見えて
実は愛情深いんだろうなぁ。

詩暢ちゃんとおばあちゃんの話が描かれるのは
確定したようでうれしいです。
さらに詩暢ちゃんとお母さんの関係性についてまで
話が及んでほしいですね。

関連記事:四十七首感想(1):女王を育みし愛
(旧ブログ)



・おや、4月?!

24巻の発売日は来年4月11日。
3月ではなく4月です!

いままでこのクオリティの作品が3か月ペースで
刊行されていたことを喜ぶべきなのですが
そうとはいえ4か月は待ち遠しいですね。

~動き出す恋愛模様~



漫画『ちはやふる』

 1巻~4巻(一首~二十三首) 各話感想 目次

 5巻~8巻(二十四首~四十七首) 各話感想 目次

 9巻~12巻(四十八首~六十八首) 各話感想 目次


アニメ『ちはやふる』

 アニメ『ちはやふる』 各回感想 目次



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この記事へのコメント

千早太夫
2013年12月29日 16:08
神場さん、お久し振りです。

私も、21巻113首で千早が原田先生に「周防名人もしかしたら…」と言いかけた時に、実は目に問題があるのでは?…と疑っていました。
その前の仮想周防名人としての練習中に、「見てる?」「聴いてる…」と独白していたのが引っ掛かったのです。
その後の挑決応援中には、千早はわざわざ名人のサングラスを掛けてみたりしてますし。

でも、本編ではまだまだ、千早が発見した名人の弱点は不明のままです。

私は、他の方のブログで、まるで名探偵気取りでこの意見を披露してしまったので、真相が違ったらどうしよう~とガクブルしてました。

神場さんの説得力ある意見に接して百万の味方を得た思いです(笑)。
2013年12月31日 20:43
千早太夫さん、お久しぶりです!

「見てる?」「聴いてる…」もやサングラスの着脱も意味深でしたね。

「弱視」でないにしても、目になにかしらの問題を抱えている可能性はかなり高いですよね。

しずく
2014年02月04日 14:38
神場さん、こんにちは!
23巻も、作品序盤のエピソードが土台の、回収・発展が織り交ぜてあって、長編連載にもかかわらず失速しない面白さがありましたね。

原田先生の勝利は、これまでの流れ、今後展開からも妥当でしたが、やっぱり嬉しかった!「先生」なのに、新のじいちゃんのようなカリスマ的なものなどなく、勝利に対する貪欲さが人間臭くて、かっこつけの太一にとって、これ以上にない先生ですから。
新も原田先生との試合後、「自分にないもの・・意地悪さ、経験、情熱、愛情、愛情、愛情」と独り言のように呟いていましたから、原田先生から人間的な強さを感じとったようでしたね。だからこそ、惜敗後、本当なら刺々しい感情に占められるはずの場面で、千早に暖かい感情が向けられ、素敵な告白ができたということでしょうか・・・?

新が告白したときの新の回想が、千早と、新のアパートでかるたをしたシーンでなく、学校でかばってくれたこと、いっしょにかるたをしようと手を差し伸べるシーンだったことが意外でしたが、新らしいなと、私もしっくりしました。

千早にとって新は、長い間「かるたの神様」のような見上げる存在でしたが、新は千早を見下ろしてたことなんてなくて、むしろ千早は自分の手をとって引き上げてくれる女の子だったんですね。

しずく
2014年02月04日 15:08
それと、周防名人の視力のこと、全然気づきませんでした。でも、そう思って読み返すと、本当、その通りですね、つじつまが合う!

今回周防名人と太一の絡みが面白かったですね。
抜群の「感じ」が武器の周防名人と、「感じ」皆無の太一に接点はないようにさえ思えてましたが、太一が周防名人から何か得るものがあったようです。
新が原田先生との試合で、最後にお手付きで負けたことで、太一も新を切り崩すヒントがもらえそうです。

そしてこれは、私の願望なんだか推測なんだかわかりませんが、周防名人vs新より、周防名人vs太一の青写真が見えてきます。周防名人と太一の初顔合わせが、千早と詩暢の初顔合わせと同じ位印象的だったこと、原田先生が周防名人に惜敗(勝手な予想)するので、原田先生の仇は太一が討つというあるあるな展開を考えて・・やっぱり周防名人を倒すのは太一かなと。

この私にとって都合のいい展開をしてもらうためには、周防名人が永世名人になっても引退しないでもらうことと、やっぱり新が太一のラスボスになるので、新にはちょっと何かしらの理由でお休みしててもらうことっていう素人らしい、つまらない展開しか思い浮かばないから、残念^_^;

とにかく、いろいろ想像して、まだまだ楽しめそうな「ちはやふる」ですね!
千早太夫
2014年04月15日 19:22
神場さん、お元気ですか~。
ちはやふる24巻読みましたか~?

感想アップ楽しみにしています。
ちなみに少しネタバレすると、詩暢ちゃんママに対する評価がさらに下落すること請け合いです♪
2014年04月23日 00:36
しずくさん、ご無沙汰してます!

しずくさんの気合いの入ったコメントに気合い入れて返信しようと思っていたら、忙しい時期に突入してしまい、長期間放置してしまいました。大変失礼しました。

もはやコメントに対するレスをしても、「遅いよ!」って感じでしょうが、せっかくいただいたコメントなので、あらためて時間みつけて返信しますね。


2014年04月23日 00:38
千早太夫さん、こんにちは!

ご心配おかけしましたが、24巻読みましたよ!そして感想も書きます。
やはりお母さんのデリカシーのなさは光っていましたね(笑)


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