ちはやふる27巻感想

ちはやふる27巻の感想です。


26巻感想のスタイルと同じく
このページに徐々に感想を追加していく予定です。

4/20 140首  追加
4/24 141首  追加
4/26 総括  追加



ちはやふる(27) (BE LOVE KC)



■総括

一見地味目に見える巻ですがかなり濃密です。

141首と142首に関していえば
このレベルの濃密さは
いつぶりだかちょっと思い出せないくらい。
物語が凝縮されて詰まっています。

「濃密」というと、
ストーリー的にはかるたも千早の恋愛も
あまり進んでいないので、
むしろあっさりしてたのでは???
と感じる人も多いかもしれませんね。

ここで言っている「濃密」とは
ストーリー的な重要度ではなくて
展開された物語の数のことです。

何年ぶりかもしれないレベルに濃密でした。

いやー久々に末次先生の凄味を実感しました。


■139首

・これが私の生きる道

具体的な進路が決まらず
担任の幸田先生から説教される千早。

以前は進路について
なにも決まらなかった千早でしたが
18巻でかるた部の顧問になりたいという動機を得て
教師の道を目指すようになりました。
進路調査票に「クイーン」と書いて
女帝からゲンコツ食らっていた頃からすると
大きな前進といえます。

しかし、その程度の前進で満足しないのが『ちはやふる』。

この漫画では‘なぜその道を進むのか’という命題に
根源的な回答が求められます。

なんだかこむずかしい話のようですが
要は、千早が「教師になりたい」と望むのなら
その最大の動機は、
教えること、伝えること、育てることに
強く魅力を感じるから
でないといけない!!ということ。

顧問になりたいというような
不純な(?)動機がメインではダメなんです。

この先「伝えること」の大切さをはっきりと認識し
あらためて私は人に物事を伝える仕事がしたいのだ
と自覚して教師を目指す
という流れになるはずです。

‘顧問になりたいから教師を目指します’で
目標ができましたメデタシメデタシにしてしまわず
さらに踏み込んで描く丁寧さが
『ちはやふる』の好きなところです。


さて、ここまでの話してきた内容と
似たようなことを過去記事でも書いているのですが
覚えている方はいるでしょうか。
(いたら超うれしい!)
141首の感想で言及します。


・真性かまってちゃん

登場しました、田丸妹!
っていうか26巻では中学生だったのか。
もっと年上かと思ってました。

田丸妹について少しコメントすると
菫ちゃん&筑波くんの2年生コンビと比べて
オーソドックスなキャラクターだなぁという印象。

菫&筑波は強いインパクトがあるわけではないけれど
他の漫画では見ないような独特の偏りのあるキャラです。
意外と真面目な筋の通った恋愛バカと
ヒーロー願望の強いマイペースなヘタレ。

よくキャラクターとしてまとめあげたなぁ
と思うような不思議な特徴の持ち主たちです。

対して、田丸妹は
自分に関心を持ってほしくてたまらない
分かりやすいかまってちゃん。

強烈な個性ゆえ読者の印象に残りやすい反面
この子のストーリーを印象的にするのは
なかなか難しい気がします。
(そこをなんとかしてしまうのが末次先生でしょうけど)

とはいえこの子もやはり
『ちはやふる』のキャラクターだなと感じる点もあります。
これは140首感想で。


・進め!ゴレンジャー

一年生の名前は「色」で統一されていますね。
紅、蒼、橙、翠

あと一人、桃とか桜がいれば
ゴレンジャー完成だったのに!惜しいっ!
と思いきや、菫も「色」でした。

瑞沢Aは3年生+筑波くん
瑞沢Bはゴレンジャーなんて構想があったりして?


・教育ママと近所に呼ばれても

太一が千早に教えた息を吐くという方法は
もともとお母さんの教えだったんですね。

小さな1コマにファンとしてはうれしくなる
エピソードが織りこまれています。

太一母の教育が意外にも古典的な教育ママと違って
一貫した信念を持って行われていることは
1巻のころからさりげなく描かれています。
太一母はたいてい数コマしか出てこないのに
きちんと信念や背景が読み取れる一言があるので
大事にされているなぁという印象です。


・君は…

かるた界においてもはやこのセリフは
「おはよう」や「こんにちは」に並ぶ
挨拶の一種なのでしょうか?!

予備校でそのセリフは絶対におかしいだろ!!
とツッコミを入れたら負けな感じのボケをかましてくる
周防名人、改め、周防先生。

この質問にはなんと答えるのが正解なのでしょうか。


太一が意外に早くかるた関係の人と出会いました。
周防名人が太一の悩みを解消する存在となるのか?!
『ちはやふる』でトップクラスに人格的に問題のある彼が
どうやって太一を人間的に成長させるのか見ものですね。




■140首

・扉絵

文字が空中に流れているる扉絵は
アニメからの逆輸入でしょうね。
紙媒体で見てもきれいですね。


・図書館の海

千早が解いた現代文の題材は
『図書館の海』というタイトルの小説。

似たタイトルの小説として
恩田陸の短編集『図書室の海』があります。
その‘睡蓮’という短編ではないかと予想しています。

‘睡蓮’には源氏物語に言及する場面があり、
千早が読んでいる『図書館の海』には
「紫式部」という単語が出てくるので。

だいぶ昔に読んだので、
ちょっと記憶があいまいです。
誰か検証してみてください。


それはさておき
『図書館の海』を手に取って読む千早の表情や
コマ割りがとても好きです。
セリフはなくとも小説に引き込まれ
色々と感じ取っていることが伝わってきます。

千早のテーマのである‘歌の世界を味わう’に
また一歩近づきました。


・チーム作り

新の大きなテーマとして
人とのつながりを持つこと、が挙げられます。

かなり早い段階からほのめかされてはいましたが
最近の新の物語はほとんどこのテーマがらみです。

人とのつながりというテーマは
周防名人や詩暢ちゃんも抱えています。

もっとも周防名人や詩暢ちゃんと違い
新は性格的に問題があるわけではありません。
対人関係はむしろ良好と言っていいでしょう。

ただ、かるたに関しては
小さいころから名人を目指してきたせいか
個人主義の発想が強かったのが新の特徴です。

で、その個人主義の発想も
高2の高校選手権の終わり頃から徐々に緩和され
この回チーム作りに積極的に動き出します。

新はその動機をはっきりと言葉にはできていませんが
今後その気持ちを言語化してもらいたいところです。


・意識の高い(?)田丸妹

田丸妹の発言や動機を取り除いて
行動だけを見てみると
意外にも部のためになる行動を取っているのが
『ちはやふる』らしいなぁと思います。

不必要な初心者用の説明を辞退
早々と対戦形式の実践的練習を提案
一年生のモチベーションをあげる目標立て

見ようによってはものすごく意識の高い存在で
発言さえウザくなければ
かるた部を活発にしてくれる存在です。

まぁウザいから
周りの不興を買うし
周りのモチベーション下げるしで
結果台無しなんですが(笑)


・かなちゃんの意図

休部を申し出る千早に対してかなちゃんは
目が覚めないうちは戻って来ないでください
と厳しい追い打ちをかけます。

かなちゃんの真意はどこにあるのでしょう?
かるた部のため?それとも千早のため?

かなちゃんの真意はその両方だと思っています。

部のために千早が抜けた方が良いという理由だけならば
あえて千早に厳しくあたる必要はない。
本人が申し出ている以上
「分かりました。納得した答えが出るまで考えて下さい」
などもうちょっと穏便な表現を使うことをしたでしょう。

あえて厳しい態度を取ったのは
休部を希望する千早が
後ろ髪を引かれて躊躇してしまわないように
という配慮だろうと思います。

というわけで、千早のためという意図があるのは
おそらく間違いないでしょう。
逆にかるた部のための発言だったのかどうか。

かるた部のためというのは建前で
実は部よりも千早を優先したのでは・・
という疑念も生じるところです。

しかし、かなちゃんは
優勝旗に恥じない戦いを(しないといけない)と
涙ながらに語っています。
このような決意を持っているかなちゃんが
個人的な理由で千早を外そうと考えるとは思えません。

実際に千早のテンションの低さが
部員に悪影響を与える(与えている)と思ったから
千早が外れた方が良いと思ったのでしょう。

また、千早のいまのかるたに向き合う態度が
優勝校の選手として相応しくないと思ったのも
あるかもしれません。

というわけで、かなちゃんとしては
かるた部のためと千早のための両方を考えて
休部を後押ししたのだと思います。


・藤岡東と瑞沢

かるた部がまさに形になろうとしている藤岡東
かるた部がいまや崩壊の危機に瀕している瑞沢
きれいな対比になっていますね。

今後対戦することはあるのでしょうか。
いま完全なる直感で予想するならば、
対戦はしない方に一票。



■141首

・告白のタイミング

机くんは告白のタイミングを計っていますが
これは悪手ですよねー。

‘もうちょっと○○してから告白する’
と考えているときはたいてい
すでに時期が来ているか
時期を逃しかけているとき。

これ以上引き延ばしちゃだめだー。


・金八先生!

まさか周防名人の口から
金八先生の「人という字は~」的な
お言葉が出るとは思わなかった(笑)

周防名人は基本的に人と関わるのが好きなんですよね。

冷めている性格と他人への問題ある態度で
ついつい騙されてしまうけど
昔っから女性の尻追っかけて生きてるし
部活に顔出して後輩に甘味を振る舞うし
塾講師なんていうコミュニケーション必要な仕事してるし。


・千早と同じ問題

139首の感想で千早の教師になりたい動機が
不純であるということを書きました。
そして似たようなことを
過去の記事でも書いたと言いました。

千早についてではありません。
太一について書いた記事です。

千早の進路に関する動機の問題は
太一のかるたへの動機の問題と共通しているのです。


8巻43首感想で書いたことを
ちょっと長いですが以下に引用します。

8巻で太一が到達したのは
<目標>かるたで強くなりたい
<動機>新にたどりつくため
<手段>そのためにわき目も振らずに頑張る
といったところです。

この中でまだ未熟なのは動機です。

人があるものに‘懸けていく’上で
最も質の高い動機は
その「あるもの」が好きだから、という純粋な思いです。

‘新にたどりつきたいからかるたをやる’では
動機がある意味で不純。

新にたどりつくためという動機も持っていて構わないけれど
やはり「かるたが好き」だからかるたをやる
という動機も持たねばならない。
この純粋な動機が一番に来ていなければならない。

同じ作品内の登場人物である千早や新が
「かるたが好きだ!」という最も純粋な思いを持って
かるたに懸けている。
とすると、太一も千早や新と同じように
「かるたが好き」だからかるたをやるところまで到達しないと
『ちはやふる』においては、懸けたことにはならないのです。

というわけで、太一が今後
「かるたが好き」だからかるたをやる
という境地に達することは間違いないでしょう。


引用は以上です。

このように千早と太一はいま
一番純粋な動機にたどりつくために思考錯誤している点で
共通しています。

性格の違う二人ですが同じ時期に
同じ壁にぶつかっているのが面白いですね。


・続く

27巻感想をこのページに全部収めるようと思ったのですが
かなーり長くなったのと
141首を単独で取り上げたくなったので
いったんここで切って別の記事にします。
第141首感想

~ちはやふる27巻感想~




漫画『ちはやふる』

 1巻~4巻(一首~二十三首) 各話感想 目次

 5巻~8巻(二十四首~四十七首) 各話感想 目次

 9巻~12巻(四十八首~六十八首) 各話感想 目次


アニメ『ちはやふる』

 アニメ『ちはやふる』 各回感想 目次



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この記事へのコメント

mai
2015年04月24日 13:24
以前、「二人とくっつくのはどっち!?」という記事の見解についてなるほど!と思いちょこちょこ見させて頂いています。この巻の感想をもっとあげて欲しい!自分のブログにも色々考察を書いているのですが、私も消去法に近い見かたをしています。例えば、太一の行動に反応するちはやの「手」や「口」、ぶわっとさせる多すぎるほどの表現さが多い。もしかませ犬だけの役ならこんなにいらないだろうと思います。春になってちはやが太一を思うシーンはやはり細い線で描かれています。後、この漫画でよく使われる「四角」や「楕円?」のようなマーク。新の告白シーンからちはやに「チカチカ」というようなマークを使うのですが、あれは「昔の思い出」「眩しかったあの日」のような気がしてならんのです。逆に、色の付いた楕円は真っ白い「チカチカ」より柔らかさがあって太一の告白シーンの「ブワ」は多すぎるほど使ってます。と、言うか新の告白シーンと太一の告白シーンでは表現するのにどちらが難しいかで見ています。明らかに太一が多すぎる。目を輝かせているよりブワの方がトーンの作り方が難しい気がするのです。ちはやが新の「好きや」と思い浮かべるシーンもなぜか「原田先生と対局している新」しかバックにありません。これを踏まえてやはり太一は単なるかませ犬ではないと思っています。そもそも新はなにを思って好きやと言ったのか。新は現在のちはやを袴を着ている、もしくはカルタをしている時しか見ていないような気もします。思い出す時も「昔のちはや」が多いです。現時点で唯一これは恋だと思えるのはどうしても太一のみなのです。というのが私の見解です。27巻で気になるのは周防の元で太一が敵になってしまうのか。それと、「カルタをしていれば太一は戻ってくる」などと太一の告白を放置しているちはやの無責任さです。長文になってしまい申し訳ありません。
神場@管理人
2015年04月28日 20:51
maiさん、はじめまして!

過去の記事を見てくださっているようで、ありがとうございます。いまでも当時の記事に書いたのと同じ理由から、太一とくっつくだろうと推測しています。
新と太一で告白の仕方も異なれば、画の表現の仕方も異なるので、色々と考えさせられますね。
太一が周防名人の下で練習することで、敵、というか、いまの千早が良しとしないタイプのかるたにはなる可能性は高そうですね。
太一の告白に対して千早は「ごめん」という回答をしているので、太一との関係では無責任とまでは思いませんが、新との関係では無責任かもしれません。

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